Welcome to CsideNet より引用
学制が発布され、ようやく学校教育活動が軌道に乗り出すと、今度はどう教えるか、教授法について、教師の関心が集まるようになった。そんなとき、主導したのはヘルバルトの5段階教授法である。やがて、この教授法は「官許」となって一世を風靡し、のちに、教化の手段ではないかなど、いろいろな批判
を浴びるようになる。
その5段階教授法とはどういうものか。1894年(明治27年)10月に発行された「実用 教育学及教授法」谷本富著から抜粋してみる。日清戦争の勝利にわくころである。
第一段階 準備 「教授をはじむる前に、新たに教授せむとする目的を予告する」
第二段階 提示 「新事物を提示する」
第三段階 比較 「類同もしくは反対の事物顕象を提示し相比較判断せしむ」
第四段階 統合 「個々の念より総合したる概念的結果を純正明瞭にする」
第五段階 応用 「新例を与えてこれを説明せしむ。試問も含む」
ヘルベルトは教授の一般的段階として「明瞭・連合・系統・方法」の4段階を考えた。
のち、ツェラーは「明瞭」を「分析・総合」の二つにわけ、5段階とした。
さらに、ラインによって「予備・提示・比較・総括・応用」の5段階として、ほぼ、この形で定着した。
それを元に翻訳したのが、先の訳語である。
「予備」は、現在の「導入」と同じ。新しい概念を得ることに必要な既有な知識を想起させ、学習への積極的な態度をつくること。
「提示」は、新教材を提示すること。
「比較」は、予備で想起した知識と提示によって新たに獲得した知識を比較し、両概念を結びつけること。
「総括」は、予備・提示・比較によって獲得した知識を体系化すること。
「応用」は、体系化された知識を具体的事実に適用すること。
この教授法が、明治期に教師の関心を引いたのは、それまでの教授が機械的記憶に陥っていた反省による。この5段階教授法は、子どもの学習心理に立脚した教授法として、教師の支持を得て、その後の授業に大きな影響を与えた。
しかし、80年をへた今日、今なお、機械的記憶に陥った授業が少なくない。反省が足りなかったのだろうか。
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