第13回をはじめます。
前回は、以下のような内容でした。
SSM調査は、社会や不平等に対する認識や人々の社会意識の違いの解明を目的として行われています。
すなわち、日本社会の「後進性」、「身分階層的秩序」、日本人の「階級意識」等を明らかにするために実施されました。
社会階層・社会変動を分析する上で、欠かせないデータとなっています。
対象者、質問内容、調査主体、予算と順に見ていきました。
回収率の低さが問題となっています。
特に長時間労働や夜間労働の階層、低学歴や低収入の人、都市部の一人暮らし層の回答が少なくなっています。
また、冬の寒い時期の調査では、高齢のパート女性が多い調査会社の調査員達が一日中、熱心に活動するのは困難ことなども原因の1つとなっています。
つぎに、量的調査と質的調査を見ていきました。
社会調査には統計的調査と事例的調査があり、
一般には、それぞれ量的研究(調査)、質的研究(調査)、として分類され、使われています。
この2つは、推論技法によって分類されています。
統計的調査では、相関分析や多変量解析が行われ、
事例的調査では、整理・発見技法が用いられています。
相関分析や多変量解析は、統計の授業で習います。
整理・発見技法には、つぎの2つがよく使われています。
- KJ法
- 有機的構造を示す整理法
- グラウンデッド・セオリー
- コーディングからカテゴリーを発見していく
GTA(グラウンデッドセオリーアプローチ)とは、
- グレイザー&ストラウスによって創始された社会科学の方法論です(グレイザー&ストラウス, 1996)。
- 社会的現象においてデータの収集と分析を通じてデータに根ざした理論(Grounded Theory)の生成を目指すものです。
GTAの手順
- 聞き取った内容をそのまま文字化して、テキストとする
- インタビューデータの文や段落に細かくラベルをつける(コード化)
- ひとまとまりの考えとして、より抽象的な概念・カテゴリーへとまとめていく
このように複数の概念・カテゴリーを関係づけていって理論を構築する立場をとります。
この2つでは、文字化する対象が違います。
KJ法は考えた事や感想などを書き出していくのに対し、
GTAではインタビューにより聞き取った内容をそのまま文字化して、テキストとします。
後の手順は2つとも同じです。
テキスト化されたインタビューデータの文や段落に細かくラベルをつけて、(コード化)、ひとまとまりの考えとして、より抽象的な概念・カテゴリーへとまとめていきます。
このように、GTA、KJ法ともに、ほぼ同じ方法で概念・カテゴリーへまとめていきます。
量的調査と質的調査の違い
量的調査
量的調査(Survey Research)の多くは、母集団について統計的に推測することを目的とした標本調査です。
現象を説明するための仮説をたて,無作為抽出で標本を選び(サンプリング)、構造化された調査票を用いて、原則として数値化された形でデータ収集し、統計処理を行うことにより仮説を検証し、一般化していきます。
サンプリングとは、
調査対象者の集団(母集団)から、実際に調査する標本(サンプル)を取り出すことといえます。
つぎの2つの方法があります。
- 全数調査(対象者全てを調べる)
=国勢調査,量的な集落調査など - 標本調査(対象者の一部を取り出して調べる)
=多くの世論調査
量的調査で扱われるデータは、観測対象の個体群があり、その群の中で諸個体がとっている値の分布からなるデータのことです。
- 数値、優・良・可、個人の成績(異なる時点、複数の科目)
量的調査の関心は、複数の個体からなる個体群の全体に向いています。
質的調査
質的調査では、結果を統計量でなく、質的な記述によって表現します。
社会現象の中で一つのまとまりをなす、と考えられるものを想定し、それについて研究していきます。
質的調査は、調査対象者の内面を理解し、現象をより深く記述することを目的に、インタビュー、参与観察、ドキュメント法などの手法を用いて行われています。
参与観察は、観察する者が,観察される対象集団の一員となって行動しながら,対象集団内で起きている出来事や人間関係を観察する方法です。
事例研究(Case Method)は、対象者の一部を取り出して調べていきます。
特定の事例の調査,企業調査,市場調査も含みます。
以下の著作が有名です。
- マリノフスキー『西太平洋の遠洋航海者』(1922)
- ニューギニアのそばのトロブリアンド島の住民を中心として構成される社会空間が一つの個体とみなされている調査
今回は、
- ホワイト「ストリート・コーナー・ソサエティ」1943
- トマス(WilliamI.Thomas)とズナニエッキ(FlorianW.Znaniecki)「欧米におけるポーランド農民」(1918-21年)
- いろいろな調査
- 質的調査で使われる手法
ホワイト(WilliamF.Whyte)「ストリート・コーナー・ソサエティ」1943
質的分析法でも扱いますので、ここでは概略をつかんでおいてください。
ボストンのイタリア人街における非行青少年集団の構造と人間関係を明らかにした、最も成功したシカゴ学派的調査といわれています。
参与観察を行い、福祉調査の系譜だけでなく、白人中産階級からみると、貧困を原因とする低い・遅れたものとして評価されがちな社会下層の人々の行動様式が、その社会や集団独自の規範や文化に支えられていることを物語っている著作です。
ちなみに、当時のシカゴ・モノグラフのテーマには、以下のようなものがあります。
1.ホボ(hobo、渡り労働者)、2.家族解体、3.人種、4.マイノリティ・移民、5.犯罪・暴力、6.少年非行7.ホテル・下宿・スラム、8.売春、9.自殺
モノグラフ (monograph)とは、一つの問題だけを対象に書かれた研究論文。モノグラフィー。(精選版日本国語大辞典)
トマス(WilliamI.Thomas)とズナニエッキ(FlorianW.Znaniecki)「欧米におけるポーランド農民」(1918-21年)
同時期の、トマスとズナニエツキの『ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民』も有名です。
社会(学)研究の優れた範例であり、シカゴ学派社会学のモデルとなっています。
アメリカに移住したポーランド農民の行動様式や生活態度の変容を手記・日記・手紙・新聞記事など、様々な素材をデータとして、まとめあげました。
ポーランドから移住してきた若者と実家で暮らす家族との手紙などを資料としてドキュメント分析を行った調査です。こちらも質的分析法で話していますが、いろいろなものが資料として使われていることを知っておいてください。
これについては、質的分析法で扱います。
いろいろな調査
つぎに、いろいろな調査です。
社会調査の基礎 第10回講義レジュメ 横断調査、縦断調査、パネル調査、コーホート分析とは (関屋光泰先生の社会福祉士受験支援講座・教員日記)に詳しく書かれています。
こちらにも抜き出しておきます。以下、順に見ていきましょう。
横断調査(cross-sectional study)
調査実施の時点において『複数の研究対象の実態・意識』を調査した結果を,男女別や年齢階級別や収入階級別などに分類して集団の断面を分析します。
縦断調査(longitudinal study)
特定の調査対象を継続的に一定の時間間隔をおいて繰り返し調査します。その実態や意識の変化を捉えることにより、集団の変化とそのタイミングや、変化とニーズの分析等が出来ます。
- 動向調査・傾向分析
- 定期的に調査を行って調査対象集団における特性の変化の傾向を把握していきます。こうして得られるデータを時系列データといいます。
- 傾向分析では,調査対象の定義は変化しませんが,集団内部の個体は変化します。
- 例えば、国勢調査では,日本の領土内に居住する人という調査対象の定義は変わりませんが,5年間の間には新しく生まれた人,死亡した人,国外へ転出したり,国外から転入した人などがいて,集団の中身である個体は前とは別の人々を含んでいます。
- 高齢者の福祉ニーズの出現率が年々上昇しているかどうかを調べる場合でも,65 才以上人口という調査対象集団の定義は変わりませんが,その中身は変化しています。
- 5年ごとに行われる国勢調査
- 毎年行われる国民生活基礎調査
- 集団調査(コーホート分析、世代差分析)
- 同時期に生まれた人口集団を追跡して同一の調査を繰り返していきます。
- 例えば、高齢者の知的能力が年齢と共にどのように変化するかを調べる場合,横断的調査では1時点でいろいろな年齢の人に知能テストを実施して年齢別に分析します。しかし,高齢であるほど就学年数の短い人が多く,そうした世代的な要因が影響している可能性があるので,年齢の上昇につれて知的能力が本当に変化したかどうかはわかりません。
- そこで,同時期に生まれた(年齢の等しい)集団を追跡調査します。
- 集団の中身は違ってもかまいません。つまり,1980 年に 65-69 歳人口について標本調査を実施したら,1985 年には 70-74 歳人口の標本調査,1990 年には 75-79 歳の標本調査というように追いかけて行きますが,標本を構成する個体は各回で異なっています。
- パネル調査・分析
- 第1回目の調査相手と同じ相手を繰り返して調査する純粋な追跡調査であり,各回の調査をウエーブといいます。
- 福祉サービスの効果を問題にする場合,福祉サービスを実施する前と後に調査を行って両者を比較しますが,両方の調査相手は同じ人々でなければ意味がありません。
- パネル分析は原因と結果が時間的に前後関係にある因果関係の検討に適した方法です。
- 問題
- 1回目と2回目の調査の間に,死亡したり行く先不明となったり重篤の病気になったりして,調査相手の数が少なくなる、
- 何回も同じ調査をするのでうるさがられる
- これに似たコーホート分析で代用することもあります。
質的調査で使われる手法
つづいて、質的調査で使われるいくつかの手法に移ります。
内容分析、会話分析、GTA (グラウンデッドセオリー アプローチ)、言説分析、生活史調査、NA (ナラティブアプローチ)、LS(ライフストーリー)、LH(ライフヒストリー)、インタビュー
内容分析
内容分析とは、テキストをある一定の仮説のもとに客観的に分析する手法です。
文学の解釈や映画批評なども広義の内容分析に含める場合があります。
コミュニケーションでやりとりされる情報内容のうち、
とくに手紙や書籍、新聞記事など、
発信された結果が残されているもの
を第三者の立場から客観的にとらえた場合に、
それをテキストtextとよぶことが多いです。
テキストにあらわれた特定のシンボル、命題、人物などを分析単位として、
出現頻度や出現スペース、評価・描写のされ方などを、あらかじめ設定したカテゴリーと判断基準によって分析していきます。
多くの内容分析は、結果が数量的なデータとして処理されています。(量的分析)
たとえば、新聞・雑誌の記事、マスメディア研究では、量的に、キーワードの登場頻度をカウントし、年次変化をグラフ化することがよく行われます。
社会科学における必要条件
- 分析対象が明示的な内容であること
- 分析が客観的であること。すなわち、分析が同じ内容に適用されるかぎり、分析者や分析時期が異なっても同じ結果が出ること。
- 分析がある規則に従って行われ、体系的であること。
内容分析が対象とするのはメッセージです。
何が、どのように記述、表現、報道されているかという分析を行います。
送り手の意図や受け手の心理状況、それによる社会的効果・影響などが結果的に分析される場合も多く見られます。
メッセージの形態も新聞記事や書簡、小説などの文字言語以外に、講演、放送などの音声言語、ジェスチャーや写真、映像などの視覚情報も分析対象となります。
『今、新聞はニュースを提供しているのか?』G・I・スピード、1893年
- 社会学的関心から行われた最初の内容分析と言われています。
- ニューヨークの主要紙の記事をテーマごとに分類し、ゴシップ、スポーツ、スキャンダルを扱った記事が増加してきたことを数字で証明しました。
1930年代後半からは政治宣伝や世論に対する関心の増加から、政治学者も巻き込んだ大がかりな内容分析が実施され始めました。
ラスウェルの『関心についての国際調査』
アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』、イギリスの『タイムズ』、フランスの『ル・タン』、ドイツの『フランクフルター・ツァイトゥング』、ソ連の『イズベスチヤ』など、各国のエリート層が読むとされた影響力の大きい新聞を対象として、
記事の中から、特定の「シンボル(象徴)」がどれくらいの頻度で出現するかを数えました。
そのシンボルが、肯定的・否定的・中立的のいずれの文脈で語られているかを分類しました。
また、登場する国家的シンボルを「自己」「他者」「価値付与」「価値剥奪(はくだつ)」などのカテゴリーに分類し、登場頻度を国際比較しています。
リー夫妻のプロパガンダ(宣伝)の分析
社会心理学者のアルフレッド・マックラング・リーとエリザベス・ブライアント・リー夫妻は、1930年代に設立された「プロパガンダ分析研究所(Institute for Propaganda Analysis)」の中核メンバーとして、プロパガンダで頻繁に用いられる7つの基本的な技法を明らかにしました。これらの技法は、人々の感情や思考を特定の方向へ誘導するために、今日でも広告や政治的メッセージなど様々な場面で活用されています。
1. ネーム・コーリング (Name-Calling)
- レッテル貼りとも訳されます。対象となる人物、団体、思想などに対して、否定的な印象を持つ言葉やレッテルを貼り付けることで、その価値や信用を落とそうとする技法です。例えば、特定の政策に反対する人物を「非国民」や「時代遅れ」と呼ぶことで、その主張内容をまともに検討させずに、感情的な反発を煽ります。
2. きらびやかな一般論 (Glittering Generalities)
- 華麗な言葉による普遍化とも言われます。具体的で明確な意味を示さずに、「自由」「正義」「愛国心」「改革」といった、多くの人が好ましいと感じる、抽象的で美しい言葉を用いて、特定の主張や人物を無条件に受け入れさせようとする技法です。言葉の持つポジティブなイメージを利用し、中身を吟味させずに賛同を得ることを目的とします。
3. 転移 (Transfer)
- 権威の借用とも言える技法です。尊敬されている権威や象徴(例:国旗、宗教的シンボル、著名な歴史上の人物など)の持つ威光や信頼性を、自分たちの主張や商品に結びつけることで、それらを正当化し、受け入れられやすくします。例えば、政治家が演説の際に国旗を背後に掲げるのは、国の権威を自らの主張と結びつける典型的な例です。
4. 証言利用 (Testimonial)
- 影響力のある著名人や尊敬されている人物、あるいは逆に嫌われている人物に、特定の主張や商品を支持または批判させる技法です。専門家ではないタレントが健康食品を宣伝したり、人気スポーツ選手が特定の政党を支持するコメントを出したりするのがこれにあたります。その人物への好感度や信頼性を、対象物へそのままスライドさせることを狙います。
5. 平凡な人々 (Plain Folks)
- 庶民のふりとも訳されます。主張する人物が、聴衆や大衆と同じような「ごく普通の一般人」であるとアピールする技法です。高級なスーツではなく作業着で演説をしたり、方言を交えて話したりすることで、親近感や信頼感を生み出し、「自分たちの味方だ」と思わせることを目的とします。
6. カード・スタッキング (Card Stacking)
- 不都合な事実の隠蔽や情報の取捨選択を指します。自分たちの主張に有利な情報だけを強調して提示し、不利な情報や反対意見は意図的に無視したり、過小評価したりする技法です。統計データの一部だけを切り取って見せたり、成功例のみを大々的に報じたりするのが典型例です。これにより、受け手は偏った情報に基づいて判断を下すことになります。
7. バンドワゴン (Bandwagon)
- 勝ち馬に乗る効果を狙った技法です。「誰もがこれを支持している」「これが世の中の大きな流れだ」といったメッセージを発信し、人々の「乗り遅れたくない」「孤立したくない」という同調圧力や集団心理に訴えかけます。選挙報道での「優勢」という情報や、「売上No.1」といった広告のキャッチコピーがこの技法の一例です。
これらの技法は、単独で使われることもありますが、多くは複数組み合わせて用いられることで、より強力な効果を発揮します。リー夫妻によるこの分析は、私たちが日々の情報に接する際に、その裏にある意図を批判的に見抜くための重要な視点を与えてくれます。
内容分析で扱われる分野は、
社会学、ジャーナリズム研究の分野だけでなく、ほとんどあらゆるジャンルの人文社会系科学に使われるようになっています。
- 文学研究
- 文体分析、作者の同定など
- 政治学
- 外交文書の分析など
- 心理学
- 性格や不安度の分析など
- 文化人類学
- 民話の分析など
また、1980年代以降は、膨大なデータを扱うためにコンピュータを援用した新しい手法も開発されてきました。
アメリカでは、犯罪増加にかかわるテレビの影響が頻繁に議論されました。
ガーブナーGeorge Gerbner(1919― )らが1967年にテレビ番組の分析を開始し、1969年の成果が米国議会の答申「暴力の原因ならびに阻止に関する委員会への報告」にも取り込まれました。
1990年代まで研究が継続され、番組の放送基準の検討材料として度々引用されています。
1990年以降、アメリカでは大きなプロジェクトを組織し、大規模な分析が行われてきました。
- 四大ネットワークの委託による
「UCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)調査」(1994~98) - 全米ケーブルテレビ事業者連盟(NCTA)の委託による
UCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)を中心とした
「全米テレビ暴力研究」(1994~98)
これらは、テレビ番組の内容分析に関して大きな成果をあげました。
注:NBC、CBS、ABCで三大、Foxを足して四大、CWを足して五大ネットワークと呼ばれています。
日本では、岩男寿美子(いわおすみこ)らがガーブナーと同じ手法で、日本の娯楽番組上に登場する暴力描写の内容分析を1977年から94年にかけて実施しています。
日本での伝統的手法による内容分析の例として、2つが挙げられます。
- 春原昭彦(あきひこ)ほか「戦時報道の実態」(『コミュニケーション研究』第11号所収、1978)
- 内川芳美(よしみ)・川竹和夫・野崎茂「テレビニュースの国際比較」(テレビ報道研究会編『テレビニュース研究』所収、1980)
参考
- 内容分析-コトバンク
- 青少年と放送に関する調査研究会、「青少年と放送に関する調査研究会」報告、1998年12月 7日
- 岩男寿美子-CiNii
会話分析
会話分析とは、会話することに内在する半ば意識的・半ば無意識的なルールを解明するものです。
会話分析では、観察法を用いて、もしくは音声・映像資料を収集して得た、複数の話者の会話を沈黙時間や話の割り込みも含め、文字・記号化(トランスクリプト)し、分析素材とします。
以下のように、2つのルールが働いていると考え分析していきます。
- 順番取得システム(turn taking system):会話に参加している者は、互いに発話の順番の交替を何らかの形で予測し、交互に調整することができるとする規則体系
- 隣接対(the adjacency pair):隣接する二人の会話がパターン化していること。問いに対する応答が典型(ex: A「おはよう」B「はい、おはよう」)
アメリカの社会学者、ハロルド・ガーフィンケル(1917-2011)は、エスノメソドロジーという思想を展開しました。
エスノメソドロジーというものの見方は、社会学を越えて隣接分野で応用されており、社会科学全般を学ぶ方に大事なものとなっています。
通常の社会学が意味する社会とは、専門的な方法的手続きをとおして構築される記号化された対象であるのに対し、エスノメソドロジーとは、人びとの「いま、ここ」の具体的な営みを説明するものといえます。
その営みやすでに成立している秩序のあり方や、社会の成員が日々の生活を営んでいる方法そのものを記述しようとするものです。
また、「行為の本当の意図は行為者自身にしかわからない」は誤りではないか、あいまいにしておくというのも合理的な活動といえる、たとえあいまいであっても人々の活動はでたらめになされているわけではなく、合理性や理解可能性がある、と考え、それをていねいに記述してみようとするのがエスノメソドロジーといえます。
応用例として、「人びとがテクノロジーを用いてどのように協同作業をするのか?」という問題を会話のやりとりや身体動作から考察することも出来ます。
参考
- 【エスノメソドロジーとは】具体例から会話分析までわかりやすく解説
- ハロルド ガーフィンケル (著)、山田 富秋 (翻訳)『エスノメソドロジー』、1987、せりか書房
今日はここまで。